業界トピックス

検事から弁護士に転職する方法と手続き

目次
  • 1.検事と弁護士の違い

  • 2.検事から弁護士に転職できるのか?

  • 3.検事から弁護士になる人はどれくらいいるのか?

  • 4.検事の転職理由

  • 5.検事から弁護士になった人の事例

  • 6.検事経験がある人は弁護士としてどのように活躍できるのか?

  • 7.まとめ

  • 検事(検察官)から弁護士に転職するためには、どうしたら良いのでしょうか?そもそも検事全体の人数が少ないため、検事の転職に関する情報が少ないという現状があります。

    それでは、検事が弁護士に転職するためには、どのような流れとなるのでしょうか?株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社は、法曹界に特化した転職エージェントとして、検事や裁判官からの転職のご相談を受け付けております(転職支援サービスへのご登録はこちら)。そこで今回は、検事が弁護士に転職する際の手続きの流れや検事が転職する理由について紹介します。

  • 1.検事と弁護士の違い

  • そもそも、検事の仕事と弁護士の仕事はどのように違うのでしょうか?

    最も大きな違いは、検事は刑事事件が業務の中心となりますが、弁護士はあらゆる分野の法律業務を取り扱うという点です。検事は刑事分野に特化したスペシャリストであるのに対し、弁護士はより幅広い分野に対応する法律家であるといえます。

    また、検事は公務員として雇用されており、厚生年金や退職金などの制度が充実していますが、弁護士の場合はこのような制度がありません。法人化している法律事務所の場合は、福利厚生が充実していることもありますが、多くの弁護士は個人事業主(フリーランス)として働いているため、一般企業のような福利厚生の制度はありません。個人事業主として働く場合は、有給休暇の制度が無く、確定申告などの税金の手続きも自分で行わなければいけません。

    なお、弁護士特有の制度として、弁護士国民健康保険組合、弁護士国民年金基金、弁護士協同組合などの保険や補償があるため、いざというときに備えておくことは可能です。ただし、これらの年金や保険の費用は、自分で負担しなければいけません。
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  • 2.検事から弁護士に転職できるのか?

  • 検事から弁護士に転職するためには、どのような手続きが必要となるのでしょうか?

    弁護士として働くためには、弁護士会に登録することが必要です。弁護士会の新規登録には時間がかかるので、検事を辞めてから弁護士になるまでの間にブランクが生じる方もいらっしゃいます。どれくらいの時間がかかるのかは、登録する弁護士会によって異なります。

    例えば、東京弁護士会の場合は、2021年10月29日までに必要書類を提出すると、同年11月25日に調査会・面接が行われ、同年12月16日が登録予定日となります。つまり、2022年1月1日から弁護士として働き始めるためには、遅くても2021年10月半ばには書類の準備に取り掛かる必要があります。(※1)

    転職先の法律事務所によっては、弁護士登録が完了していなくても、事務職員やパラリーガルとして雇ってくれる場合があります。ただし、事務職員やパラリーガルとして働く場合は、給与が半額程度になる可能性があります。このような状態を避けるためには、選考を受けている段階で早めに弁護士登録のスケジュール確認しておくことが得策です。弁護士登録が間に合わないおそれがある場合は、お早めに転職エージェントにご相談ください。
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  • 3.検事から弁護士になる人はどれくらいいるのか?

  • 検事を辞めて弁護士に転職する人はどれぐらいいるのでしょうか?

    日本弁護士会連合が発表した統計によると、2019年度の弁護士登録者数は1,629人であり、そのうち37人が元検事です。つまり、新規登録弁護士の約2.3%が、検事から弁護士に転職した人です。(※2)

  • 4.検事の転職理由

  • 検事が転職を考えるきっかけは、どのような理由なのでしょうか?

    転職に至る事情は人それぞれですが、検事が転職を考えるきっかけとして多いのが、「転勤」です。検事は任官後におよそ2〜3年の割合で全国規模の転勤があります。このため、遠方への転勤が難しくなった場合に、弁護士への転職を検討する人が多いようです。例えば、子供が小学校に上がるタイミングでマイホームを購入した場合や、親の介護が必要となって実家の近くに住む必要が生じた場合などが挙げられます。

    また、転勤によって検察庁以外の現場を経験したことをきっかけとして、転職を考え始める人もいます。検事の転勤先は、ほとんどは検察庁の現場ですが、その他にも、法律事務所や民間企業への派遣、外務省など他省庁への出向、法務省の行政官、司法研修所の教官、法科大学院への派遣など、多様なケースがあります。検察庁以外の現場に身を置くことによって、検事という職業の素晴らしさを改めて実感する人もいますが、その一方で、「検察庁の組織体制や出世競争に戻りたくない」と考える人もいます。このように、他の組織を経験することによって、検事という仕事を客観視するようになり、転職を考え始める人がいらっしゃいます。

    転職理由として、「刑事事件以外の分野に挑戦したい」という声も少なくありません。検事のままでも刑事以外の分野を担当することは可能ですが、やはり業務の大多数は刑事関連が占めています。このため、より幅広い分野の業務に取り組みたいと考える人は、弁護士に転職することが選択肢の一つとなります。

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  • 5.検事から弁護士になった人の事例

  • それでは、実際に検事から弁護士に転職した人の事例を見てみましょう。

  • (1)30代後半男性、お子様の小学校入学を機に法律事務所に転職

  • 検事として10年ほど勤務されていましたが、お子様が小学校に入学する前に定住したいという理由で転職を考えるようになり、株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社にご相談にいらっしゃいました。転職先として法律事務所をご希望されていましたが、どのような法律事務所に入るかについては迷っていらっしゃいました。このため、弊社転職エージェントからは、できるだけ幅広い分野の求人をご紹介させていただきました。

    結果として、大規模な法律事務所から小規模の法律事務所まで、複数の法律事務所から内定をいただきました。弊社エージェントとご相談したうえで、経営方針に共感できる民事系法律事務所に入所することを決断されました。

  • (2)20代後半女性、検事からインハウス(企業内弁護士)に転職

  • 検事の仕事にやりがいを感じていらっしゃいましたが、検事3年目にご結婚されたことをきっかけに転職を考えるようになり、株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社の転職支援サービスにお申し込みいただきました。

    弊社にご相談にいらっしゃった当初は、法律事務所かインハウスかでお悩みでしたが、最終的には「家庭と仕事との両立を考えると、法律事務所よりも企業の方がワークライフバランスを取りやすいだろう」という理由で、インハウスへの転職をご希望されました。

    インハウスの選考では、企業法務実務経験者が即戦力として優遇される傾向がありますが、20代という若手であることを最大限にアピールされたため、ポテンシャルを評価してもらうことができました。最終的には大手メーカーから内定をいただき、企業法務未経験としては高待遇の条件で入社されました。

    ●その他、合計22の転職事例をご紹介

  • 6.検事経験がある人は弁護士としてどのように活躍できるのか?

  • 検事経験がある人が弁護士として転職すると、どのような強みがあるのでしょうか?

    元検事の最大のメリットは、検察庁や裁判所の考え方を熟知している点です。検察庁内部にネットワークを持っている点は、弁護士には無い強みです。また、検事は弁護士に比べると裁判官との距離が近いため、担当部署の裁判官や裁判所のノウハウを把握しています。検察庁や裁判所の内部情報は、弁護士として働くうえで大きなアドバンテージとなります。

    また、任官者は司法試験上位合格者や司法修習時の成績上位者であることが多いため、地頭が良く、仕事が速い人物として評価されます。任官者は起案能力も高いため、多方面の分野の法律事務所から重宝されます。「元検事である」ということはそれだけで一つの名刺になるので、クライアントから名前と顔を覚えてもらいやすいというメリットもあります。

    ただし、検事時代に刑事事件しか取り扱った経験が無い人は、転職先として企業法務を希望する場合は、即戦力として評価されません。他の応募者が企業法務経験者である場合は、若手ポテンシャルをアピールするなど、何らかの戦略が必要となります。なお、大手法律事務所の中には、元検事を多数雇っているところもありますので、このような事務所に応募する場合には、企業法務未経験であっても採用の可能性が高まります。

    40代以上のシニアになると、全くの未経験で企業法務系の法律事務所に転職することは難しくなります。未経験で企業法務系の法律事務所に挑戦したいという人は、できる限りお早めに転職エージェントにご相談ください。なお、40代以上であっても、刑事系の法律事務所からは即戦力として高く評価されます。

    このように、検事の転職については年齢や経験に応じて戦略を立てることが重要となりますので、転職をお考えの方はお気軽に転職エージェントにご相談ください。

  • 記事提供ライター

  • 元弁護士 ライター
    東京大学卒業後、ロースクールを経て新司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。

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