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司法修習生考試(二回試験)に対策は必要か

目次
  • 1.司法修習生考試(二回試験)とは

  • 2.司法修習生考試(二回試験)の合格率と対策の必要性

  • 3.司法修習生考試(二回試験)に向けた対策・勉強方法

  • 4.まとめ

  • 1.司法修習生考試(二回試験)とは

  • 司法修習生にとって就職と並ぶ一番の関心事が司法修習生考試、通称二回試験でしょう。二回試験とは司法修習の最終試験です。これに不合格となってしまうと、翌年に後輩に混じって再受験することになり、少なくとも1年間、弁護士になれる日が遠のきます。就職内定を取り消される場合も多いでしょう。同期は皆が弁護士になっているのに自分だけが無職からやり直す精神的な辛さ、経済的な厳しさも、もちろんあります。

    二回試験では、民事弁護・刑事弁護・民事裁判・刑事裁判・検察の5科目を、それぞれ丸一日、合計5日間かけて受験します。司法試験と同じく手書きの試験ですが、試験時間中に読まなければならない資料の量も、起案が求められる量も司法試験を遥かに上回ります。起案というのは各種書面を作成することで、二回試験において作成が求められる書面の形式は科目ごとに異なるため、司法修習中に習得する必要があります。

    ここでは、二回試験に向けて対策をする必要はあるのか、勉強方法はどうするべきかについて、筆者の考えを紹介します。

  • 2.司法修習生考試(二回試験)の合格率と対策の必要性

  • 法務省がまとめた二回試験の不合格者数の推移をみると、見かけ上の不合格率(考試不合格者数を司法修習生採用者数で割ったもの)には大きなばらつきがあります。

    不合格率は現行60期から急激に上昇しましたが緩やかに低下し、68期から完全に回復しています。60期から新司法試験が開始され、68期から新司法試験の合格者数が減少しているので、一見するとその影響が強いようにも見えます。ベテラン弁護士の中には、二回試験は本来誰もが受かる試験であり、60期から不合格が目立つようになったのは司法試験合格者の質の問題だと言う人もいます。

    しかし、現行60期は旧司法試験が通常通り実施された最後の年です。ここから不合格率が跳ね上がっていることを司法試験合格者の質の問題として説明することはできません。また、筆者は新63期ですが、周囲で二回試験に不合格となってしまった複数の同期はいずれも優秀と目されていました。逆に、危ないと思われていた同期は揃って合格していました。危ないと思われていた同期は呼び出されて個別指導を受けていたそうです。筆者には、二回試験の合否は受験者の質よりも対策によるところが大きいと思えます。

    不合格率の推移は制度の変化から説明することが可能です。まず、現行60期からは追試制度が廃止されました。二回試験の合否は総合点で決せられるのではなく、一科目でも落とせば不合格となります。そして、59期までは、一科目だけを落とした場合には、その科目だけの追試を受けることができました。追試がなくなれば不合格率が上昇することは当然です。

    また、新60期以降は司法修習の期間が短縮されました。司法修習の内容も二回試験の合格基準も変更はないので、従来は司法修習のカリキュラムの中で消化できた内容を、司法修習生が自主的に補充する必要が生じました。新60期以降しばらくの間は、司法修習生の自主的な補充の意識が弱かったと考えられます。

    68期からは導入修習が開始されました。60期から67期までは司法修習は実務修習からスタートしていましたが、68期からは、冒頭で和光(司法研修所)に集まり、二回試験に向けた意識づけがなされています。新63期の筆者が具体的に二回試験を意識するようになったのは実務修習を終えた後の集合修習からですが、68期以降と比べるとスタートが遅かったと言わざるを得ません。

    合格者数の推移においては、不合格率の分母として二回試験の受験者数ではなく司法修習生採用者数(再採用者数を含まない)を用いました。そのため、再受験者(再採用者)が不合格になれば見た目上の不合格率は高くなります。また、現行制度と新制度が並走していた時期は、二回試験不合格者は、新と現行とにかかわりなく、次に行われる二回試験を再受験することができました。再受験では追試のように一科目に集中できないので、不合格から再受験までの期間が短ければ実力不足の解消は難しく、連続して不合格になることが多かったと思われます。特に現行63期と現行64期で見かけ上の不合格率が異常な高さになっているのは、司法修習生採用者数が少ないので再受験者の不合格による影響を受けやすいからでしょう。

    以上のように、二回試験の不合格率が激しく推移したのは、司法修習生の質の変化ではなく制度の変化によると筆者は考えています。59期以前に不合格が珍しかったのは修習期間の長さと追試制度の賜物であり、68期以降の善戦は導入修習によって意識づけされた十分な対策に支えられていると考えられるので、これから二回試験を受験するならば、十分な対策は当然の前提となります。

  • 3.司法修習生考試(二回試験)に向けた対策・勉強方法

  • 裁判官志望の場合、二回試験の成績が悪いと内定が取り消されると聞きます。筆者の同期の裁判官志望者も少しでも良い成績で二回試験を突破しようと必死になっていました。

    それ以外の大多数の司法修習生にとっては、成績が悪くとも不合格にさえならなければ問題ありません。司法修習では同期の仲間たちと楽しい思い出を作ることも大切ですから、対策は必要な範囲にとどめ、遊びと勉強の両立を狙うべきです。

    二回試験は合格率が高い試験なのですから、良い意味で周囲に埋もれた、悪目立ちしない起案をすれば合格します。遊びと勉強を両立させるためにも、上手く周囲に埋もれるためにも、周囲と足並みを揃えた対策をすることが求められます。いわゆるホームラン答案を狙うことは下策です。

    オーソドックスな勉強方法は司法研修所の教材、通称白表紙を読み込むことです。白表紙は全ての司法修習生が共通して目を通す信頼できる教材です。白表紙だけではわかりにくいところがあれば、評判の良い書籍を購入して補完します。この評判は司法修習生仲間から集めます。自分だけしか読んでいないような書籍に手を出せば不合格の気配が漂ってきます。

    周囲と同じ勉強をするだけでなく、周囲と一緒に勉強をすることも大切です。同期の仲間と勉強会を開催し、自分の起案のどこが良かったのか、どこが悪かったのか指摘し合うことで、悪目立ちしない起案が可能になります。筆者の周囲でも、集合修習が終わりに近づくにつれて、毎晩のように勉強会が開催されていました。

  • 4.まとめ

  • 二回試験は、合格率こそ高いものの、落ちてしまえば失うものが大きすぎるので、対策が必要になる試験です。とはいえ、良い意味で周囲に埋もれた起案ができれば合格できる上に、司法修習では仲間との思い出作りも仕事のうちなので、同期の仲間と足並みを揃えて勉強会を繰り返すことが効果的な対策となるでしょう。

  • 記事提供ライター

  • 弁護士
    大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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