業界トピックス

ヤメ検とは

目次
  • 1.ヤメ検とは?

  • 2.ヤメ検はどのくらいいるのか?

  • 3.ヤメ検の強み

  • 4.ヤメ検の強みを活かせる働き方は

  • 5.まとめ

  • 1.ヤメ検とは?

  • 「ヤメ検」とは「検察官を辞め(ヤメ)た人」のことを指します。司法試験に合格した後は、司法修習を経て、裁判官・検察官・弁護士のいずれかの職業に就くのが一般的です。裁判官と検察官は国家公務員であるため毎年の定員が決まっており、希望すれば誰でもなれるというものではありません。法科大学院の成績、予備試験・司法試験の成績、司法修習中の成績、実務への適性などを踏まえて審査されるため、成績優秀者が裁判官や検察官になるという印象が強いです。

    弁護士経験を積んだ人が裁判官になる「弁護士任官」制度もありますが、近年は弁護士任官する人の数も増えており、司法修習直後に任官する場合より、より一層厳しい審査と言われています。

    このため、通常「ヤメ検」は、司法修習後にすぐ検察官になり、何年か検察官の仕事に従事した後で弁護士に転職する人を言います。

  • 2.ヤメ検はどのくらいいるのか?

  • 検察官から弁護士に転職する人はどのくらいいるのでしょうか?

    日本弁護士会連合が発表した統計によると、2020年度の弁護士登録者数は1,576人であり、そのうち49人が元検察官です。弁護士登録しているうちの約3.1%が検察官から弁護士に転職した人です。年によってもバラつきがありますが、この10年ほどは平均して毎年約30~40人程度で推移しています。

    1990年代後半から2000年代前半にかけては20人に満たない年が続いていましたが、司法制度改革によって検察官の人数も増えてきており、これに呼応する形で検察官から弁護士に転身する人数も相対的に増えていると考えられます。

  • 3.ヤメ検の強み

  • 検察官は刑事事件のエキスパートなので、弁護士になってからも強みを一番活かせるのは刑事事件といえるでしょう。特に、「検察官はこのような場合にこう考え、こう動く」「こういう弁護活動をされると検察官はやりづらい」ということを実際に経験して知っているというのは、ヤメ検ならではの武器といえます。

    検察官としての経歴が長く、検察庁内に知り合いが多ければ、知り合いが担当検事になることもあるかと思います。その際に、「あの検察官の公判活動にはこういった特徴がある」などがわかれば、それを踏まえた訴訟活動をおこなうこともできるでしょう。検察庁に知り合いがいるからといって手心を加えてもらうことはもちろんできませんが、知り合いであることで検察官と弁護人の事前の話し合いがスムーズに進むことはありえます。

    そして、刑事事件の依頼者やその家族などにとっては、検察庁の内部を知っているヤメ検弁護士に弁護を担当してもらうことで心強いと思ってもらえる場面もあるはずです。刑事弁護を中心に活動していくのあれば、元検察官という経歴や検察官時代に担当した案件をうまくアピールすることで、営業面で有利になる可能性もあります。

  • 4.ヤメ検の強みを活かせる働き方は

  • ヤメ検の強みを活かした働き方をするには、やはり刑事事件専門や刑事事件を多く手がける法律事務所に入所するのがよいでしょう。検察官は、刑事事件専門のため、一般民事事件・企業法務事件については経験の浅い弁護士と同程度の経験しかありません。

    検察官としての経験が3~5年程度であれば、司法試験や司法修習時代の知識・経験が残っていると思いますが、検察官としてのキャリアが長くなればなるほど、過去の知識が薄れたり、民事事件から離れている間の法改正をキャッチアップできていなかったりするため、民事系(特に企業法務系)の法律事務所には採用されにくい傾向があります(ただし、検察官として長く勤務し、実績もかなりある場合には、企業の不祥事案件や危機管理担当として大規模法律事務所や大手企業に採用されることもありえます)。

    もっとも、実務経験がないとはいえ、元々検察官に採用されたということは成績優秀です。法律実務家としての経験が長いというアドバンテージを活かして、民事実務や企業法務においても短期間で実力を伸ばす可能性は十分にあります。元検察官としてのポテンシャルを評価してくれる法律事務所であれば、取扱分野を問わず採用につながると考えられます。

    また、ヤメ検が代表弁護士を務める法律事務所や、ヤメ検が多く所属している法律事務所への入所を目指すという選択肢もあります。ひとことで「刑事事件」といっても、検察官の視点と弁護士の視点は必然的に異なります。また、異なっていなければなりません。検察官としての経験があるからこそ有利になる点もありますが、検察官ならではの考え方が刑事弁護をする上で妨げになる場合もありえます。そのような時、ヤメ検の先輩が近くにいてアドバイスをしてくれる環境というのは非常に心強く、また、短期間で「刑事弁護」のスキルを上げることにもつながるはずです。

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  • 5.まとめ

  • 検察官から弁護士に転身するにあたって、これまでの経験を活かして刑事弁護を中心に扱っていきたいのか、それとも心機一転民事事件も含めて幅広く扱う弁護士になりたいのかは、様々だと思います。

    C&Rリーガル・エージェンシー社は、一人ひとりのご希望を丁寧にうかがい、最適な次のステージを共に探すと同時に、元検察官としてのキャリアを最大限に活かせる転職活動のアドバイスをさせていただきます。ご希望の方はぜひ当社エージェントにお気軽にご相談ください。

  • 記事提供ライター

  • 社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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