修習体験レポート

77期 Eさんの修習体験レポート ~導入修習編~

目次
  • 導入修習の授業について

  • 全体の感想・得られたもの

  • 悩んだことや、苦労したこと

  • これから修習生になる方へ

  • 導入修習の授業について

  • 一番印象に残った、または役立つと感じた授業と内容について教えてください

  • 民事裁判および民事弁護の共同カリキュラムである、模擬弁論準備期日です。修習生が、裁判官チーム、原告代理人チーム、被告代理人チームに分かれて、実際の事件を題材にした弁論準備期日を行う、という授業です。当日は、訴訟物、請求原因、抗弁、再抗弁についての主張を整理し、争点を形成したうえで、両当事者の証拠によって何を立証したいのかを整理し、撤回する証拠があれば撤回し、最終的に裁判官チームがどのような心証を抱くか、という弁論準備期日の一連の流れをすべて行います。そのための準備として、どのチームも、記録を丁寧に読み込み、両当事者の主張を整理し、法的に分からないところは自ら文献に当たって調査し、また、釈明を求めるべき事項をいくつか抽出し(釈明についても体験してもらうため、あえて当事者の主張が分かりにくい事件記録を用いていると思われます)争点になりそうな事実を押さえておきます。これをしておかないと、裁判官チームとしては、期日を円滑に進めることができませんし、代理人チームとしては、自らの考えを伝えられず、裁判官の心証が悪くなります。授業の後は、民事裁判教官および民事弁護教官からのフィードバックがあります。この授業を通じて、期日の実際を体験できるとともに、主張整理、事実認定の方法を知ることができます。また、弁護士になったら端的で分かりやすい書面を作ろうと思うようになります。

  • 全体の感想・得られたもの

  • 導入修習の全体を通しての感想や、そこで得られたものを教えてください

  • 導入修習の立て付けは、ロースクールの授業の延長です。しかし、ロースクールの授業はほとんどが学問としての法律を扱いますし、実務基礎の授業もあくまでも座学にすぎません。導入修習は、より実務に近いことを学びます。まず、事件記録を丁寧に読む、ということを人生で初めて行うのが導入修習になりますし、そもそもどのように事件記録を読むのか、という点から学習します。そうすると、実際の事件に法律を適用することがいかに難しいかに気づくはずです。これについては、授業でディスカッションする機会が多くありますので、色々な人の意見を聞き、ためになりそうな考えを学ぶことができます。とはいっても、導入修習はあくまで導入であり、座学であることには変わりありません。ですので、高尚なものと捉えることなく、気楽に授業を受けるのがよいと思いました。

  • 悩んだことや、苦労したこと

  • 導入修習中に悩んだことや、苦労したことを教えてください

  • 予習がそれなりの量あることが苦労しました。ロースクールのように、教科書の一部分だけを、教授に指される直前に読んでおけば足りるというものではなく、記録や教材を読んでおかないと、授業そのものにまったくついていけませんので、この点が苦労しました。また、検察官および裁判官志望なので、周りがどうしてもライバルになってしまいます。もちろん、日頃から意識しているわけではありませんが、「あんな優秀な人が検察官・裁判官志望なら自分は無理だ」と思ってしまうことがあり、この点は悩みました。ただ、悩みがあれば教官が親身になって聞いてくれますし、研修所にはグラウンドもありますから、スポーツをして悩みを晴らせる時間を作ることができ、いい教官および友達に恵まれたと思います。

  • これから修習生になる方へ

  • メッセージやアドバイスをお願いします

  • 導入修習がどのようなものか、と言われれば、端的に答えると、「ロースクールの延長」です。法律についての授業を受ける、という点はロースクールと同じです。ただ、その内容がより実務的であり、かつ、修習生が主体的にディスカッション、発言および発表する機会が多い、という点は、ロースクールより進化しています。いずれの授業も楽しく、ためになりますし、授業以外も、課外で飲み会やスポーツをする機会が必ずありますので、想像以上に充実しているものだと思います。