業界トピックス
「弁護士の仕事がつらい! 辞めたい理由と転職先の選択肢について」
- 目次
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1.はじめに
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1.弁護士を辞めたい理由とは
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2.弁護士として得た知識や経験を他で活かす方法とは?
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3.弁護士を辞めることは失敗ではない
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1.はじめに
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せっかく司法試験に合格して弁護士になっても「思っていたのと違ってつらい、辞めたい」と考えてしまう先生方が増えています。
いったいどうして苦労して就いた職業を「辞めたい」と思ってしまうのでしょうか?
そこには弁護士の収入や労働時間、職務内容などいろいろな問題があります。
また弁護士を辞めたあと、転職先としてはどのような候補があるのでしょうか?
今回は、弁護士が「辞めたい」と考える理由とその後の転職先の選択肢について、考えてみましょう。
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1.弁護士を辞めたい理由とは
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弁護士が辞めたいと考えてしまう理由には、以下のようなものがあります。
1-1.思ったほど稼ぎ(年収/収入)がよくない
弁護士と言えば「高収入」の代表格のイメージがあります。
確かにかつては、医師と並んで高収入の職業だったと言えるでしょう。しかし今は様相が変化しています。
司法試験の合格人数が増やされたことにより若手弁護士の平均年収は低下しており、年間所得が300万円台という方もいます。
もちろん1000万、2000万円と稼いでいる弁護士もたくさんいるのですが、低収入な方は「何のために苦労して弁護士になったのかわからない、こんなことなら辞めたい」と考えてしまいます。
「弁護士の収入はいくら?開業独立と勤務弁護士の給与や年収を比較!」
1-2.労働時間が長すぎる
弁護士は、収入が高い方でも労働時間の長い仕事です。特に独立して自分の事務所を構えると、土日祝も休まない方や深夜まで仕事をしている方も多数おられます。
勤務弁護士の場合にも、仕事を終わらせるために毎日深夜まで働くケースがありますが、事務員などと違って「残業代」は支給されないのが一般的です。
ワークライフバランスの実現が非常に困難となり、疲れ切って「弁護士を辞めたい」と考え始めてしまいます。
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1-3.仕事内容がストレスフル
弁護士としての業務内容が「辞めたい」原因になるケースも多々あります。
弁護士の仕事内容は非常にストレスがかかるからです。依頼者は尋常でないトラブルを抱えた方ばかりなので、そのマイナスオーラを一身に受けることになりますし、相手方も変わった人が多数です。
また弁護士は、相手方のみならず依頼者からも責められる場合があります。かといって、依頼者の人生がかかっている一大事ばかりなので、手を抜くことは許されません。
しかも「弁護士としての社会的な責任」も背負って毎日を過ごす必要があります。
こうした業務上のストレスと責任の負担に耐えかねて、若手弁護士は「辞めたい」と考えてしまいます。
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1-4.ブラック事務所に就職してしまった
特に若い方に多いのですが、就職先がいわゆる「ブラック事務所」だったパターンがあります。
ブラック事務所とは給料が異常に安い、労働時間が異常に長い、業務量が異常に多い、ボスが気分屋で感情的になりやすい、暴力を振るわれたり暴言を吐かれたりする、パワハラが横行しているなどの労働環境や条件に多大な問題のある事務所です。中には給料を「貸付金」として返済を求めてくる事務所もあるようです。
こういった事務所に勤めていると、当然心身の健康を保ちにくくなり「辞めたい」と考え始めます。
1-5.独立に失敗
独立して自分の事務所を構えた場合にも、事務所経営に失敗して辞めたいと考えるパターンがあります。
弁護士としての仕事はうまくできても「営業」ができないケースや「お金の管理計算」が苦手なケース、「人を使う」のが苦手なケースなどがあるためです。
集客できなければ事務所としてやっていくことはできませんし、収支について考えずに無計画に事業拡大などを続けていると破綻状態になってしまうでしょう。経営者となれば事務員や勤務弁護士を雇わないといけないので、そうした人を使うのが苦手であれば経営には向きません。
事務所経営に行き詰まって辞めたいと考えてしまいます。
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1-6.病気になった
弁護士業務がつらくて、うつ病などの精神病になってしまう方は意外とたくさんいます。
また長時間労働がたたって心疾患や脳疾患にかかったり、不規則な生活がたたって糖尿病やがん、肝疾患などの病気になったりする方もおられます。
病気になると弁護士の仕事を続けるのがさらに苦痛となり、辞めたいと考えます。
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2.弁護士として得た知識や経験を他で活かす方法とは?
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弁護士を辞めたら、その後どのような方法でその知識・経験を活かすことができるのでしょうか?以下では、辞めた後考えられる選択肢をいくつかご紹介します。
2-1.企業の法務部 、知的財産部、コンプライアンス部門
弁護士を辞めた後の転職先として有力な候補は、一般企業です。一般企業では弁護士登録した状態で受け入れてくれることが多く、弁護士費用も負担してくれる事例が多数です。
需要の高いのは法務部や知的財産部、コンプライアンス部門です。できれば弁護士時代に企業法務に積極的に関わっていると有利ですが、必ずしも企業法務の専門知識や経験は必要ではありません。一般民事ばかりやっていた方でも一部上場企業に就職できた事例は多数あるので、弁護士を辞めたら、まずは企業内弁護士への転職を検討することをお勧めします。
企業内弁護士(インハウスローヤー)の現状
2-2.コンサルタント
弁護士を辞めた後、総合コンサルタントになる方もおられます。企業の経営方針やトラブル予防、書面作成などをアシストする仕事です。
ただし弁護士登録を抹消すると法律業務をしてはいけないので、法的なアドバイスや交渉はできなくなります。こうした業務も行いたいのであれば、弁護士業を辞めるとしても、弁護士登録は残したままコンサル業にシフトしていくのが良いでしょう。
2-3.税理士、弁理士
あまり例は多くないですが、弁護士を辞めて税理士や弁理士になることも可能です。司法試験に合格している方は、全員税理士や弁理士の登録ができます。士業はそれぞれ業界の傾向や環境というものがあり、税理士や弁理士はそれぞれ弁護士とはまったく異なる状況にあります。弁護士が向いていなくても税理士や弁理士ならできるという方もいるでしょう。弁護士を辞めて税理士となり一般企業の顧問などを増やしたり、弁理士となって特許申請などを行ったりする生き方も、今後は増えてくるかもしれません。
2-4.事業家
最近の若手弁護士で勢いのある方は、事業家になる方が多いように感じます。弁護士業務も行いながら、弁護士以外のさまざまな事業を行っているのです
事業内容は人によってさまざまで、飲食業、モデル事務所、印刷業、不動産業などその人に応じたものを選択しています。いつしか事業の方が大きくなり、弁護士業務を辞めている方もおられます。
弁護士が向いていない、もっと大きな仕事をやりたいと感じるなら、辞めて事業家への転身も検討してみるのも良いでしょう。
2-5.不動産業
弁護士は不動産業者と関わる機会が多い仕事です。不動産会社から賃料不払いや退去、競売などの相談を受けたり顧問となったり任意売却を依頼したり破産管財案件でかかわったりします。
不動産業者からいろいろな話を聞くうちに「自分は不動産業の方が向いているのではないか?弁護士を辞めても良いのでは?」と考え始める弁護士の方がいます。
実際、弁護士として培った法律知識や書面作成能力、交渉力などは不動産業に役に立ちます。弁護士を辞めた後、不動産業に転職したり自分で不動産会社を設立・経営したりするのも1つの選択肢と言えるでしょう。
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3.弁護士を辞めることは失敗ではない
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せっかく苦労して弁護士になったのに辞めてしまったら、まるで自分が落伍者、失敗したかのように感じてしまうものです。しかし辞めることは失敗ではありません。それによって次の道を開けるのであれば、新たな人生のきっかけにもなります。
とはいえ仕事は人生の多くを占める重要な部分ですから簡単に決められるものではありません。弁護士を辞めた後、企業内への転職などを検討されるなら、一度エージェントなどの専門家に相談してみるのが良いでしょう。
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記事提供ライター
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記事提供:法律ライター 元弁護士
京都大学在学中に司法試験に合格、弁護士登録
勤務弁護士を経て法律事務所を設立、経営
現在は弁護士の実務経験を活かし、多数の法律メディア、法律事務所、弁護士などの法律関係者向けのメディアなどで執筆業を行う。
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2.開業独立弁護士と勤務弁護士を給与や年収で比較すると?
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3.弁護士に向いている人はどんな人?
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