業界トピックス
企業が弁護士を業務委託として雇うことのメリット
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企業内弁護士の雇用形態は正社員だけじゃない
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一般的な雇用について
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業務委託という雇用
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業務委託で弁護士を雇うメリット
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業務委託弁護士を採用するデメリットと対策
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業務委託弁護士の採用事例【成功企業の実例】
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業務委託を検討の企業はC&Rリーガル・エージェンシー社へお問い合わせください
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企業の法務ニーズが多様化し、従来の正社員採用だけでは対応しきれないケースが増えています。特に、専門性の高い業務や一時的な案件に対応するための弁護士確保は、多くの企業にとって重要な課題となっています。
そこで近年注目されているのが、弁護士を業務委託契約で雇用する選択肢です。業務委託契約を活用することで、必要なタイミングで専門性の高い弁護士を確保し、法務リスクを適切に管理することが可能になります。また、固定費を抑えつつ、即戦力となる人材を迅速に確保できるため、スタートアップ企業から上場企業まで、幅広い企業で導入が進んでいます。
本記事では、業務委託で弁護士を雇うメリットや正社員との違い、成功事例、契約時のポイントなどについて詳しく解説します。自社に適した法務体制を構築するために、業務委託弁護士の活用を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。
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企業内弁護士の雇用形態は正社員だけじゃない
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企業内弁護士といえば、企業と雇用契約を結んで、正社員として働くというイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。
実際には、業務委託契約を活用し、必要な業務に応じて弁護士を柔軟に採用するケースも増えています。企業法務の専門人材を確保するために、正社員ではなく、業務委託契約を結ぶ選択肢が注目されています。
業務委託契約では、弁護士は企業と雇用関係を持たず、独立した立場で契約を結びます。そのため、特定の業務に特化した専門的なサポートを提供しながら、企業のニーズに応じて契約期間や業務範囲を調整できるのが特徴です。
たとえば、コンプライアンス研修の実施、知的財産、M&A・訴訟関連の事務サポートなど、専門知識が求められる分野での業務委託弁護士の活用が増えています。企業としても、社内の法務リソースを補完しつつ、必要なタイミングで専門性の高い弁護士を確保できるメリットがあります。
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一般的な雇用について
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ここでは、一般的な雇用形態と主な弁護士の雇用形態について説明します。
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■ 一般的な雇用形態と企業目線でのメリット・デメリット
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一般的な雇用形態と、企業目線でのメリット・デメリットをまとめました。
1. 正社員(無期雇用)
正社員は、企業と無期雇用契約を結び、フルタイムで勤務する従業員です。企業の戦略に長期的に関与し、組織の中核となる人材として活躍します。【メリット】
・長期的に企業の成長に貢献する人材を確保できる
・業務の継続性が保たれ、組織の安定性が向上する
・企業文化やノウハウの蓄積が可能【デメリット】
・採用コスト・教育コストが高く、固定費の負担が大きい
・解雇が法律で厳しく制限されているため、柔軟な人員調整が難しい
・給与・賞与・福利厚生などの継続的なコストが発生する2. 契約社員(有期雇用)
契約社員は、企業と期間を定めた雇用契約を結び、一定期間フルタイムで勤務する従業員です。【メリット】
・必要な期間だけ即戦力を確保できる
・正社員よりも人件費を抑えつつ、フルタイムで働ける人材を採用できる
・経営状況に応じて契約更新を判断できる【デメリット】
・契約満了時に優秀な人材が流出する可能性がある
・正社員に比べ、企業文化の浸透や組織への帰属意識が薄くなりがち
・5年以上の継続雇用で無期雇用転換義務が発生する可能性がある3. パート・アルバイト(短時間労働者)
パート・アルバイトは、正社員よりも短い労働時間で働く有期雇用の労働者です。【メリット】
・繁忙期に合わせて柔軟に人材を確保できる
・人件費を抑えながら、必要な業務を補完できる
・週の労働時間が短い場合、社会保険の企業負担が発生しないケースがある【デメリット】
・短期間での離職が多く、採用・教育の手間がかかる
・企業のコア業務には向かず、業務範囲が限定される
・シフト調整の負担が発生する4. 業務委託契約(委任・準委任契約)
業務委託契約とは、企業が個人事業主や法人に業務を依頼し、労働契約を結ばずに報酬を支払う契約形態です。【メリット】
・必要な業務のみを外部の専門家に依頼できるため、固定費を抑えられる
・社内に専門知識がない業務(M&A、知的財産、IT開発など)も対応可能
・成果ベースの契約が可能で、業務の柔軟性が高い【デメリット】
・社内ノウハウが蓄積されにくい
・業務内容や契約条件を明確にしないと、トラブルが発生しやすい
・長期的なコミットメントが期待しにくい
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■ 企業における主な弁護士の雇用形態
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企業が弁護士を採用する際には、業務内容や法務ニーズに応じて適切な雇用形態を選択する必要があります。企業の法務部に所属して内部から業務を支える「正社員(企業内弁護士・インハウスロイヤー)」と、外部の弁護士と契約を結び、特定の業務を依頼する「業務委託弁護士」の2つが代表的な雇用形態です。
1. 正社員(企業内弁護士・インハウスロイヤー)
企業内弁護士(インハウスロイヤー)は、企業の法務部に所属し、法務リスクの管理やコンプライアンス強化、契約審査、紛争対応などを担当する役割を担います。企業内で継続的に業務を行うため、社内の法務機能を強化し、企業の経営戦略に沿った法務支援を行うことが可能です。この雇用形態は、日本国内でも広がりを見せており、特に上場企業や大手企業を中心に社内法務の専門家として弁護士を採用するケースが増えています。
2. 業務委託弁護士(外部弁護士との契約)
企業が弁護士と委任契約または準委任契約を結び、特定の業務や案件を依頼する形態です。正社員として弁護士を雇うのではなく、必要な業務に応じて外部の専門家を活用する方式であり、訴訟・M&A関連の事務サポート、知的財産関連業務、コンプライアンス指導など、高度な専門知識が求められる業務に適用されることが多いです。この雇用形態は、特にスタートアップ企業や中小企業での導入が進んでおり、法務部を持たない企業や、特定の専門分野に特化した弁護士を必要とする企業で活用されています。また、法務業務の効率化を目的として、大手企業でも業務委託弁護士を活用するケースが増えています。
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業務委託という雇用
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業務委託契約を活用した弁護士の雇用は、企業の法務業務においてますます重要な選択肢となっています。従来、企業が弁護士を採用する場合は、正社員として法務部に所属させることが一般的でした。しかし、企業の法務ニーズが多様化し、専門性の高い案件が増加する中で、特定の業務に対して外部の弁護士を業務委託契約で活用するケースが増えています。
業務委託契約では、弁護士は企業と直接の雇用関係を持たず、契約で定められた業務範囲内で法務サポートを行います。これにより、企業は必要な業務に応じて専門家を柔軟に確保することが可能となり、社内の法務リソースを最適化できます。
また、業務委託契約を活用することで、企業は専門性の高い弁護士を柔軟に確保できるだけでなく、採用のハードルを下げる効果も期待できます。
正社員としての弁護士採用は、給与や福利厚生といった固定費の負担に加え、採用までの時間や手間がかかることが課題となるケースが多くあります。特に、企業が求める専門知識やスキルを持つ弁護士が市場に少ない場合や、正社員としての雇用条件が弁護士側の希望に合わない場合、採用活動が難航することも少なくありません。
一方、業務委託契約であれば、弁護士側も独立した立場で働くことができるため、企業とのマッチングが成立しやすくなります。たとえば、フルタイムの勤務が難しい弁護士や、特定の分野に特化して活動したい弁護士にとって、業務委託は魅力的な選択肢です。企業としても、必要な業務に応じて契約を調整できるため、固定費を抑えながら適切な人材を確保することが可能となります。
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業務委託で弁護士を雇うメリット
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業務委託契約を活用して弁護士を雇うことは、コスト削減・採用のスピード・専門性の確保という点で、企業にとって大きなメリットがあります。特に、法務部のリソースが限られている企業や、特定の法務業務に専門知識が必要な場合には、業務委託契約による弁護士の活用が非常に有効です。
また、近年では、業務委託で企業の案件に関わりたいと考える弁護士のニーズも高まっており、企業側が即戦力となる法務人材を確保しやすい環境が整っています。正社員としての採用が難しい場合でも、業務委託契約であれば企業の法務ニーズに合致した弁護士とスムーズに契約を結ぶことが可能です。
弁護士の働き方が多様化する中で、法律事務所に所属するだけでなく、フリーランスや個人事業主として複数の企業と契約を結び、業務委託で法務業務を担当するケースが増えています。このような弁護士は、自身の専門性を活かしながら柔軟な働き方を求めており、企業側にとっても即戦力の弁護士を確保する絶好の機会となっています。
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■ 【コスト削減】業務委託弁護士はなぜ企業にとって経済的なのか?
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正社員として弁護士を雇用する場合、給与に加えて社会保険料、福利厚生、ボーナス、研修費用などの固定コストが発生します。しかし、業務委託契約を活用すれば、これらの固定費を抑えながら、必要な法務業務に応じた費用で弁護士を確保することができます。
特に、企業の法務ニーズが限定的である場合や、一定の期間だけ専門的な知識を必要とする場合には、業務委託の方がコストパフォーマンスが高いケースが多くなります。
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■ 【スピード採用】業務委託なら短期間で即戦力弁護士を確保できる!
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正社員として弁護士を採用する場合、求人の募集、選考プロセス、面接、内定、入社までの手続きに数カ月かかることが一般的です。一方で、業務委託契約で弁護士を雇う場合は、必要なスキルを持つ即戦力の弁護士を短期間で確保できるというメリットがあります。
特に、業務委託契約では、採用プロセスが簡素化されるケースが多く、部門面接のみで決定することもあります。そのため、企業が急いで弁護士を確保したい場合や、特定のプロジェクトに合わせて法務サポートが必要な場合に、業務委託契約が有効となります。
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■ 【専門性の確保】法務リスク対策に強い弁護士を業務委託で雇う方法
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企業の法務業務は、契約審査、コンプライアンスの方針策定支援、訴訟関連の事務サポート、M&Aにおけるデューデリジェンス支援、知的財産管理など、多岐にわたります。これらの業務を全て社内の法務部で対応することは困難であり、特定の分野に強い弁護士を業務委託で確保することで、専門性を高めつつ、法務リスクを効果的に管理することが可能になります。
たとえば、企業が海外展開を進める場合には、国際取引や現地法規制に詳しい弁護士のアドバイスが不可欠です。また、新規事業の立ち上げ時には、事業モデルが法規制に適合しているかを確認するためのリーガルチェックが必要となります。このようなケースでは、業務委託弁護士を活用することで、企業が必要とする専門知識を即座に確保できます。
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業務委託弁護士を採用するデメリットと対策
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業務委託契約を活用して弁護士を雇うことは、コスト削減や専門性の確保といった多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。特に、正社員とは異なり、業務範囲の制限があること、社内異動ができないこと、そしてどの程度コミットメントを期待できるのかが不明瞭であることなどが企業側の懸念点として挙げられます。
しかし、これらの課題は、契約の工夫や運用方法によって最小限に抑えることが可能です。企業が業務委託弁護士を効果的に活用するために、デメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要となります。
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■ 業務範囲の制限がある
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業務委託弁護士は、契約で定めた業務に限定して法務サービスを提供するため、企業の内部業務には直接関与しにくいという特徴があります。正社員であれば、企業の方針や経営戦略に応じて幅広い法務業務を担当できますが、業務委託弁護士の場合、依頼できる業務は契約内容に依存します。
また、業務委託契約では、企業が弁護士に対して指揮命令を行うことができないため、社内業務のサポートや、他部署との調整などの業務を任せることが難しいという点もあります。
対策としては、以下のことがあげられます。
・契約書で業務範囲を明確に定める:必要な業務を具体的に記載し、弁護士との認識のずれを防ぐ
・定期的な契約更新を行う:業務の進捗に応じて契約内容を見直し、必要に応じて業務範囲を調整する
・社内の法務担当者と連携する:業務委託弁護士に任せる範囲と社内で対応する範囲を明確に区分する
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■ 社内異動ができない
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業務委託弁護士は、企業の内部組織の一員ではないため、事業の変化に応じて別の部署に異動させることができないという制約があります。たとえば、正社員の弁護士であれば、必要に応じて経営企画部門やコンプライアンス部門への異動が可能ですが、業務委託弁護士の場合、企業の組織変更や事業再編の影響を受けず、契約内容に基づいた業務のみに従事します。
また、企業が事業拡大を進める中で、新たな法務ニーズが発生した場合でも、業務委託弁護士に柔軟に役割を変更させることが難しいという点も、企業側の懸念点となります。
対策としては、以下のことがあげられます。
・プロジェクト単位で契約を見直す:事業の進展に合わせて契約を調整し、新たな法務ニーズに対応できるようにする
・社内弁護士とのハイブリッド活用:基幹業務は正社員の法務部門が担当し、特定の専門領域を業務委託弁護士に任せる
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■ どこまでコミットしてもらえるか不明瞭
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業務委託弁護士は、企業専属の正社員とは異なり、他のクライアントの案件も並行して担当していることが一般的です。そのため、企業の案件にどの程度の時間を割いてもらえるのか、また急ぎの対応が必要な際にどこまでコミットしてもらえるのかが不透明な場合があります。
特に、訴訟関連事務のサポートや法改正に伴う影響分析とレポート作成など、迅速な対応が求められる業務において、業務委託弁護士がすぐに動けるかどうかは契約内容や弁護士のスケジュールに依存することになります。
対策としては、以下のことがあげられます。
・対応時間、レスポンスのルールを契約で明確に定める:契約時に、対応可能な時間帯や緊急案件の対応方法について取り決めを行う
・複数の弁護士と契約する:必要に応じて、特定分野ごとに複数の弁護士と契約し、対応力を強化する
・定期的なミーティングを実施する:進捗確認の場を設け、コミットメントの程度を把握する
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業務委託弁護士の採用事例【成功企業の実例】
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業務委託弁護士の活用は、企業の法務体制を強化するための有効な手段です。コストを抑えながら即戦力を確保し、特定の案件に対応できる専門性を持った弁護士を採用できるため、企業の法務ニーズに柔軟に対応できます。
ここでは、実際に業務委託弁護士を採用した企業の成功事例を紹介し、どのように企業の課題を解決したのかを詳しく解説します。
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■ プライム上場の不動産企業が弁護士(15年目)を法務部員として採用したケース
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プライム上場の不動産企業では、法務人材の採用を急いでおり、即戦力となる法務エキスパートを迅速に確保する必要がありました。正社員としての採用には時間がかかるため、業務委託契約を活用し、経験豊富な弁護士を採用しました。
【契約内容】
勤務時間:月64時間(週2日、1日8時間)
年収:480万円このケースでは、業務委託契約を活用することで、短期間で即戦力の弁護士を確保し、企業の法務体制を迅速に強化することができました。
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■ ITベンチャー企業が弁護士(6年目)を法務部員として採用したケース
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ITベンチャー企業では、正社員としての弁護士採用が難航し、企業の法務体制の整備が進まない状況が続いていました。そのため、業務委託契約に切り替え、若手の弁護士を採用することで、必要な業務に対応できる体制を構築しました。
【契約内容】
・月当りの稼働時間:30時間
・年収:420万円この事例では、業務委託契約を活用することで、正社員採用の難航を解決し、法務業務をスムーズに対応できる環境を整えることができました。
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業務委託を検討の企業はC&Rリーガル・エージェンシー社へお問い合わせください
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企業の法務ニーズは多様化しており、専門的な法務対応が求められる場面が増えています。しかし、正社員として弁護士を採用することは、コストや採用難易度の面で課題が多く、必要な法務リソースを確保するのが難しい企業も少なくありません。
C&Rリーガル・エージェンシー社では、企業の法務ニーズに応じた業務委託弁護士の採用支援を行っています。企業の課題や業務範囲に合わせて、適切な弁護士を紹介し、スムーズな業務委託契約の締結をサポートします。
「即戦力となる弁護士を迅速に確保したい」
「正社員採用が難しく、業務委託契約で柔軟に対応したい」
「M&A、知的財産、コンプライアンスなど特定の業務に特化した弁護士を活用したい」このような企業のニーズに応じた弁護士のマッチングを提供し、最適な法務体制の構築を支援します。
業務委託弁護士の活用を検討している企業様は、ぜひC&Rリーガル・エージェンシー社へお問い合わせください。
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記事提供ライター 中澤 泉(弁護士)
弁護士事務所にて債務整理、交通事故、離婚、相続といった幅広い分野の案件を担当した後、メーカーの法務部で企業法務の経験を積んでまいりました。
事務所勤務時にはウェブサイトの立ち上げにも従事し、現在は法律分野を中心にフリーランスのライター・編集者として活動しています。