業界トピックス

就職/転職にまつわる弁護士あるある

目次
  • 1.はじめに

  • 2.自分の給料を知るのは就職/転職後

  • 3.こんなに忙しいとは思わなかった

  • 4.企業法務系法律事務所に就職したはずなのに

  • 5.仕事を教えてくれない

  • 6.おわりに

  • 1.はじめに

  • 弁護士は、仕事では契約内容を厳しくチェックしますが、自分のことになると無頓着な人種です。ある先輩弁護士が、(自分が当事者の場合)お金ももらえないのに契約書なんて読めない、と豪語していましたが、筆者を含む多くの弁護士がこの言葉に賛同しています。弁護士の自分のことに関する無頓着は、就職/転職という人生の節目においても同様です。ここでは、就職/転職における弁護士あるある(失敗談)を紹介します。

  • 2.自分の給料を知るのは就職/転職後

  • そんな馬鹿なと思われるかも知れませんが、少なくとも筆者の新人時代にはよくある話でした。弁護士は、先輩弁護士に気に入られて法律事務所への就職や移籍を誘われることがあります。誘われた側としてはその後の待遇が気になるところですが、自分のことになると途端にガードが緩くなる弁護士は、その先輩弁護士のことは信用できるし、こんなに熱心に誘ってくれるのだから悪い待遇なわけがないと軽信し、給料の話をする前に就職や転職を決めてしまいます。後から給料を聞いてがっかりしても、既に就職/転職をしている以上、退路は断たれています。

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  • 3.こんなに忙しいとは思わなかった

  • 弁護士業界では、人手不足になったボス弁が、ヘッドハンティング目的で弁護士の飲み会に顔を出し、狙った弁護士と親しくなって口説き落とすことがよく行われています。弁護士は、人によって働き方も取扱分野もバラバラなので、同業者がライバルではなく仲間になる独特な業界であり、飲み会で円満移籍が決まることが珍しくありません。

    弁護士も、自分の人生がかかっているので、お酒をご馳走してくれたからと就職/転職を決めることはありません。それでも、頻繁にお酒を飲みにいける時間的余裕と経済的余裕に期待して、ワークライフバランスを求めて就職/転職を決めることがあります。

    ところが、いざ就職/転職してみると、それまで頻繁に飲みに誘い出してくれたボス弁は、ほとんど飲み連れて行ってくれません。そもそも仕事が忙しく、飲みに行く時間的余裕がありません。よくよく考えれば当たり前で、ボス弁は人手が足りないからヘッドハンティングに励んでいるのであり、自分はお客様あるいはスカウト対象から忙しい法律事務所の一員に立場が変わったのです。こんなに忙しいとは思わなかった、もっとおもしろおかしい日々を想像していたのに、という話をよく聞きます。

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  • 4.企業法務系法律事務所に就職したはずなのに

  • 企業法務と言っても様々な分野があります。契約書の作成・添削、新規事業のリーガルチェック、株主総会対応、組織再編やM&Aのスキーム提案などの、裁判所が直接関与しない仕事は、問題なく企業法務と呼べそうです。裁判所が関与しても、特許、商標、不正競争防止法などの、通常は企業間でしか争われない分野については、企業法務と呼びやすいでしょう。ところが、企業から企業に対する貸金返還請求になると一般民事色が漂ってきます。企業側から労働事件を扱うと、相手方は個人になるので、ますます企業法務色は薄れます。筆者のかつての勤務先法律事務所は、顧問先からの依頼しか受けず、企業間の訴訟の代理人ばかりしていましたが、ボス弁は街弁を自称していました。何をもって企業法務とするかは人それぞれです。

    企業法務系の法律事務所に就職/転職したはずなのに顧問先からの契約トラブルや労働問題などの相談ばかりで専門性が身に付かない、金融法務のスキーム構築がしたいのに債権回収ばかりしている、などの不満はよく聞くところですが、就職/転職先が嘘をついているわけではありません。

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  • 5.仕事を教えてくれない

  • 弁護士の業務分野は多岐にわたります。一人の弁護士が、弁護士の業務分野すべてに通じることは不可能です。また、自分の事件の取り扱い範囲を定めても、その周辺分野についての知見も求められます。エンジニア出身の弁護士がIT企業の顧問をしていても、労働問題の相談を受けることはあるのです。

    弁護士は、新人であっても、依頼者からも先輩弁護士からも先生と呼ばれます。司法試験に合格し、司法修習を終了しているのですから、実際に期待されてのことです。とはいえ、経営者弁護士も、経験が浅い弁護士に、大切な依頼者の人生を任せられるほど無責任ではありません。仕事ぶりをチェックしたり、節目の打ち合わせに同席したり、初期は何もさせずに見学に専念させたり、各種研修に参加するための早上がりを許可したり、自由に過去の事件記録を読ませたり、教育的配慮をしています。

    先輩方や筆者は、仕事は見て盗めという時代に育ちましたが、近年の勤務弁護士は、教育的配慮にとどまらず、法律事務所内で研修や個別指導の時間を設けることを期待しているようです。この世代間ギャップからか、就職/転職先の法律事務所で誰も仕事を教えてくれない、教え方が雑でわかりにくい、という不満を本当によく聞きます。

  • 6.おわりに

  • 以上、筆者が実際に聞いたり体験したりした弁護士あるあるをご紹介しました。いずれも弁護士業界では珍しい話ではないのですが、一般企業では考えられないことばかりでしょう。不幸なあるあるが発生してしまう理由としては、同業者同士の近すぎる距離感や業務の幅広さなどの弁護士業界の特殊性、一般企業と比較しての就職/転職市場の未成熟が考えられます。C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士の就職/転職を支援して15年以上の歴史を誇り、弁護士業界の特殊性を理解するだけでなく、就職/転職支援のプロフェッショナルとしての成熟性を備えています。ここで紹介したあるあるに陥らないためにも、就職/転職をご検討の際には、C&Rリーガル・エージェンシー社にお気軽にご相談ください。

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  • 記事提供ライター

  • 弁護士
    大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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