業界トピックス
リモートワークで人材確保、子育て世代の弁護士を採用する方法
- 目次
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1.新型コロナ禍とリモートワーク
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2.企業にとってのリモートワーク
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3.弁護士にとってのリモートワーク
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4.子育てとリモートワーク
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5.まとめ
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記事提供ライター
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サイト運営会社:株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社
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1.新型コロナ禍とリモートワーク
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新型コロナ禍により、リモートワークが急速に普及したのですが、withコロナ、アフターコロナと呼ばれる局面になり、リモートワークは減少傾向にあります。総務省が実施している通信利用動向調査(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html)によると、リモートワーク(同調査ではテレワークという文言が用いられていますが、ここではリモートワークに読み替えます。)を「導入している」、「導入していないが、今後導入予定がある」と答えた企業の割合は、2019年には、それぞれ20.1%と9.4%であったのに、新型コロナ禍が発生した2020年には、それぞれ47.4%、10.8%へと急上昇しました。ところが、2021年になると、それぞれ51.8%、5.5%となっており、導入している企業の割合は上昇したものの、導入予定がある企業の割合が大幅に低下した結果、両者の合計は、58.2%から57.3%へと低下しました。2022年になると、それぞれ51.7%、3.5%となり、わずかとはいえ、導入している企業の割合までもが低下しています。2023年には新型コロナウイルスが5類感染症となったため、低下傾向が加速すると予測されます。
一方で、弊社に転職の相談をされる弁護士の方の多くは、リモートワークを希望されています。中には、現在の勤務先がリモートワークを廃止したから転職を考えたという方もいらっしゃいます。企業と弁護士との間では、リモートワークへの積極性について大きな違いあるようです。ここでは、リモートワークと弁護士の採用について考えます。
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2.企業にとってのリモートワーク
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総務省による通信利用動向調査を詳しく見ていくと、企業にとってのリモートワークの扱いが見えてきます。従業員規模別のリモートワーク導入状況は、従業員数が大きな企業ほど、導入率が高い結果になっています。ここまでは驚きはありません。新型コロナ禍以降(2020年~2022年)の導入率の推移を見ると、従業員数100~299人の企業では、42.0%、44.4%、45.6%、従業員数300~499人の企業では52.8%、60.3%、62.4%と、導入率は上昇傾向にあります。しかし、従業員数500人を超えると、2022年には低下に転じており、特に、2,000人以上の企業では、2021年に91.6%に達していた導入率が、2022年には68.7%まで急低下しています。2022年単年でリモートワーク導入率を比較すると、従業員数1,000~1,999人が70.9%、2,000人以上では68.7%と逆転しています。
同調査における、企業がリモートワーク普及のために必要とする要素のうちの「企業内における取組」は、「労務管理の適正化」が48.5%、「執務環境の整備」が42.8%となっています。リモートワークの普及の妨げとなっているのは、従業員が、自宅できちんと働いているのか、働ける環境にあるのか、ということへの懸念にありそうです。従業員数が多い企業ほど従業員一人一人への労務管理が難しくなっていくので、2022年の、従業員数が多い企業ほどリモートワークを廃止しているという傾向が説明できます。
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3.弁護士にとってのリモートワーク
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リモートワークとほぼ同じ意味でテレワークという言葉がありますが、リモートワークが物理的な距離に着目するのに対して、テレワークは技術的手段に着目するとして使い分ける場合もあるようです。そして、弁護士は、物理的な距離に着目したリモートワークに慣れ親しんでいます。
弁護士は、法律事務所を拠点として活動していますが、裁判所や事件現場、依頼者や相手方の居所へと移動することが多い職業です。法律事務所に立ち寄らず、自宅から直行直帰ということも頻繁にあります。新幹線移動の最中にノートPCで書面を作成することもします。重い守秘義務を負っているので、画面にプライバシーフィルターを貼るなど情報漏えいを防ぐための工夫を欠かしませんし、家族が相手でも職務上知り得た秘密は明かさない訓練を受けています。弁護士の間では、新型コロナ禍以前からリモートワークが普及していたともいえます。
元々弁護士は、自宅や図書館で、誰から強いられるわけでもなく猛勉強に励み、司法試験を突破しています。弁護士は、「労務管理の適正化」や「執務環境の整備」への懸念を類型的に払しょくできると期待できます
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4.子育てとリモートワーク
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子育て世代にとって、リモートワークの可否は死活問題です。夫婦ともに弁護士の場合、2人ともリモートワークをしながら、育児負担を分散するということもよくあります。弊社に転職のご相談をされる弁護士の方も、独身の弁護士はリモートワークに拘りがない場合が多いものの、子育て世代の方ほど、リモートワークを希望されます。
弁護士を採用したい!求人企業によるインハウスローヤーの選び方(https://www.bengoshitenshoku.jp/column/228)においてご紹介しましたが、インハウスローヤー(企業内弁護士)に転身する弁護士の多くは、経験15年目程度までの若い世代です。司法試験合格者の平均年齢は28~29歳程度ですが、これは社会人を経由しての合格者も含む平均値であるため、合格者の多くが25歳程度です。司法修習を終えて弁護士となるのは26~27歳程度、つまり、新たにインハウスローヤーとなる弁護士の多くが、20歳代後半から40歳程度までということになります。これは、リモートワークを切実に希望する子育て世代と一致します。
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5.まとめ
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アフターコロナとも呼ばれる時代になり、企業のリモートワークの導入率は低下傾向にあります。その理由としてはリモートワークにおける労務管理の難しさが考えられます。しかし、弁護士は、元々リモートワークに慣れており、リモートワークだからといって仕事の手を休めることはしません。そして、新たに企業での勤務を希望する弁護士の多くが子育て世代であり、リモートワークを希望する切実な理由を抱えています。弁護士を採用したいが、なかなかうまくいかないという企業は、リモートワークの許可を検討してはいかがでしょうか。優秀な子育て世代の弁護士を採用できるきっかけになるかも知れません。
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記事提供ライター
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弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。
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弁護⼠、法務・知財領域に精通したプロフェッショナルエージェンシーです。長きに渡り蓄積した弁護士・法律事務所・企業の法務部門に関する情報や転職のノウハウを提供し、「弁護士や法務専門職を支える一生涯のパートナー」として共に歩んでまいります。
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