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実はブラックじゃない!オーナー法律事務所、オーナー企業の魅力と活躍するための対処方法

目次
  • オーナー系の法律事務所や企業はブラックなのか?

  • オーナー系企業・法律事務所をお勧めするタイプ、お勧めしないタイプ

  • オーナーボスに敬意を払い「学ぶ姿勢」が大切

  • オーナーの「有能な参謀」となる

  • 経営者弁護士が「ボス弁」としてすべてを取り仕切っている法律事務所やワンマン社長が切り盛りしている企業は、勤務弁護士にしてみると「ブラック」とも思え敬遠されがちです。
    転職時に気づかず入所(入社)してしまった法律事務所や会社がワンマンで、すぐにまた転職を考えている方もおられるかもしれません。

    しかし弁護士の転職を長年にわたりサポートしてきたエージェントの立場からは、違う世界が見えているようです。

    今回は、弁護士が就職や転職によってオーナーボスの法律事務所やワンマン社長のオーナー企業で働く魅力や上手な働き方について、弁護士専門の転職エージェントに取材をしてきました!

  • オーナー系の法律事務所や企業はブラックなのか?

  • オーナー系の法律事務所や企業はブラックなケースが多いのでしょうか?ずばり聞いてみました。

    エージェント
    確かに「ブラック」と受け止められがちですが、必ずしもそうとは言えないと考えています。オーナー系の場合、企業であっても法律事務所であっても共通する良い点と悪い点があります。

    悪い点
    オーナーのひと言、一存ですべての事柄や方針が決まります。またオーナーの言うこと自体がすぐ変わり、従業員や勤務弁護士が振り回されるケースも多々あります。
    法律事務所の場合、経営者弁護士だけがクライアントを抱え込んでいるため勤務弁護士が将来に不安を感じるといった声もあります。
    企業では、そのままでは法律に抵触しそうな案件を「あとはよろしく」と丸投げされるなど、法的リスクを回避しビジネスとして機能するために、その仕組みごと構築し直すなど、大変な思いをされた事例などもありました。

    良い点
    企業にも法律事務所にも共通しますがオーナー系の場合、何かあったときの全責任は経営者が負います。依頼者ともめたとき、トラブルが発生したときなどボスがすぐに判断して方針を決定してくれるため、スピーディに対応しやすくトラブルが拡大しにくい傾向があります。また勤務弁護士個人が責められる状況が発生しにくく、過度なプレッシャーを感じることなく仕事をできる一面があります。
    またオーナー企業や法律事務所の経営者は優れた経営手腕を持っているものです。経営者と距離が近いため、そのノウハウを学び将来に役立てられる利点もあります。 転職によって「経営を学びたい」と考える弁護士の方には、非常に勉強になる環境です。

  • オーナー系企業・法律事務所をお勧めするタイプ、お勧めしないタイプ

  • インタビュアー
    オーナー系の企業や法律事務所では、就職や転職することによって合う人と合わない人がはっきり分かれそうですよね?お勧めできるタイプとオススメしないタイプを教えてもらえたらありがたいです。

    エージェント
    はい、はっきり分かれると思います。

    オーナー系をオススメするタイプ
    オーナー系はトップの判断が早い分、考え方や方針が急に変わることも多々あります。そんなときに苦痛やストレスを感じるのではなく「きっと経営的な視点から最良の判断をされているのだろう」と柔軟に受け止められる弁護士であることが第一です。
    またオーナーの方針に従いながら最大限の結果を獲得するために工夫できることが望ましいと言えます。たとえばオーナーは思いつきですばらしいアイデアを出すことなどもよくありますが、それを法的なスキームによってうまく形にしていけるタイプの弁護士は企業内で非常に重宝されるでしょう。

    オーナー系をオススメしないタイプ
    オーナー系事務所ではオーナーがすべてトップダウンで決定しますし、その指示内容は朝令暮改であることが日常茶飯事です。これは弁護士に限ったことではありませんが「 自分の裁量を認めてほしい」「自分を全面に出して仕事をしたい」方は大きなストレスを感じてしまうことが多い傾向にあり向かないと思います。

  • オーナーボスに敬意を払い「学ぶ姿勢」が大切

  • インタビュアー
    オーナー系の法律事務所や企業に入ったときの心構えはありますか?

    エージェント
    ひと言で言うと「オーナーに敬意を払い学ぼうとする姿勢」が重要です。
    オーナーは社長であっても弁護士であっても一人で組織や体制を構築し、売上を拡大して来た実績があります。 すべてのことをオーナーは自分で決断する一方で、すべての責任を自らが負う覚悟を常に持っています。そうした思いとプレッシャーの中で繰り返してきた判断能力や経営手腕は一般の人に真似できるものではないでしょう。圧倒的な「結果」を出してきたトップに敬意を払い、そこから「学ぼう」とする姿勢を持っていれば、そういった法律事務所で活躍できると思います。

  • オーナーの「有能な参謀」となる

  • エージェント
    オーナー系の企業や法律事務所は一般的にどうしても「ブラック」 だと就職先・転職先として敬遠されがちです。
    しかしオーナー企業や法律事務所でも素晴らしい職場はたくさんあります。たとえば柳井氏のファーストリテイリング、孫氏のソフトバンク、三木谷氏の楽天、法律事務所で言えばTMIや牛島など、数えていけば切りがありません。ソフトバンクがiPhoneを日本で他社に先んじて導入した際も、ドコモが決定に時間をかけている間に孫氏がトップダウンですぐに決断したことによるもので、トップの判断によるひとつの成功事例ではないでしょうか。
    もちろん合う合わないはありますが、オーナー系でこそ活躍できる人材が存在するのも事実です。オーナーは細かいところを詰めるのが不得意なケースが多いので、「優秀な参謀」としてオーナーの思いつきを形にできる人材(特に弁護士)は非常に評価されますし、オーナーからも頼られるようになり待遇も上がります。オーナーの希有な経営手腕を間近で学べる環境も貴重と言えるでしょう。

    「オーナー系はブラック」と決めつけず、就職先・転職先としても積極的に選択肢に入れていただきたいですし、「転職で入社した企業や法律事務所がオーナー系だった」ケースでもやる気を失わずに積極的な姿勢をもって活躍していただきたいと思います。


    「ブラック」と言われがちなオーナー法律事務所やオーナー企業にも魅力や活躍方法があるものですね。今後の転職活動を進める際、ぜひとも参考にしてみてください。

  • インタビュアー

  • 法律ライター 元弁護士

    京都大学在学中に司法試験に合格、弁護士登録
    勤務弁護士を経て法律事務所を設立、経営
    現在は弁護士の実務経験を活かし、多数の法律メディア、法律事務所、弁護士などの法律関係者向けのメディアなどで執筆業をおこなう。

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